大人な社会科見学

2009年11月17日 (火)

葡萄酒はこうして造られる(その二)

 さてさて、前回からの続き、今回は「鳥取の左です」でおなじみの島根県、その東部に位置する雲南市木次町の奥出雲葡萄園についてお送りします。

 まず、ワイナリーに行く前に、このワイナリーの親会社 木次乳業さんへ、ここでパスチャライズド(低温殺菌)牛乳やチーズのお勉強です。ちゃんと見学コースもあって、本当に小学生の社会科見学のようです。後でココで作られているチーズを肴にワインのテイスティングがあるとの事、ご当地のチーズでご当地のワインを、こりゃたまらんのです。これが本当のスローフード。今回のツアーは日帰り版アグリツーリズモなのだ。

 で、ついにワイナリーに到着です。

 到着するや否や、ワイナリーの製造責任者、安部醸造長さんから畑の説明です。

20091115122001_2 見よ、この整然と作られたこの葡萄畑。日本の葡萄畑には珍しい立ち木栽培のこの樹形(普通、日本の葡萄園は棚栽培)、まるで本場のヨーロッパのようです。収穫後の画像なのですが、聞けば、葡萄の収量は、この今年伸びた徒長枝に、普通は二房、多くても三房までなのだそうです。

20091115122819_3 ちなみにこの畑は、葡萄品種で言えばシャルドネの畑。よく観察すれば、収穫されずにシワシワになった葡萄の小さな房が一つ枝に残っていました、それを一粒取って食べてみると、水分が抜けているせいもあって、とても糖度が高く、返り香がシャルドネのワインと同じ風味。ウヒヒッ!

20091115122541 除草剤を使わない(草刈機での草刈はされるそうです)ためと、土壌が栄養過多にならぬよう葡萄の木の周りはこんな感じで草が生えています。何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」で、養分は確かに必要なんですが、やりすぎは木を甘やかしてよくないのだ。果樹の世界でもハングリー精神のあるものが大成するのだ!!ったらなのだっ!!!

 さてさて、終にワイナリー内部へ侵入です。

20091115124748 前日に紹介した、創業60余年のホージョーワインさんとは対照的な、明るくて新しいこの感じ、平成生まれのワイナリーの故なのですね。ここで赤・白・ロゼの醸造方法の説明を受けます。隣の部屋でコルク詰め等を経験して、ここでもワイナリーの要、地下の樽の貯蔵庫へ。

20091115131441 うぉ~!!!この光景、無性に興奮してきました。しかも見学コースのこのBGM、マイルズ・デイビスの「死刑台のエレベーター」がかかっています。たまらん、こんなアジト・・・秘密基地・・・欲しい・・・。

20091115132608 何と此処で嬉しい経験が、普段は絶対こんな事をしてもらえないのそうなのですが、このツアーの参加者の我々に、今、この樽の中で熟成中の赤(カベルネ・ソービニオン)と白(シャルドネ)ワインを試飲させていただく事になりました。ガラスの大きなピペットを使い、テイスティング・グラスに一口ずつのワインを注がれていきます。これもひとえに、このツアーの幹事、谷本酒店の若旦那のおかげです。

20091115132947

20091115132218 まだ出来上がる手前のワインの色はこんな感じです。白ワインの画像を見ていただくと良くわかると思いますが、まだ酵母が混ざっていて白濁しています。それと発酵中のため炭酸ガスがワイン内に溶けていて、舌先をピリピリと刺します。赤はタンニンがまだまだ強く「ニガニガ」した尖った渋味があります。この状態はとても美味しいと言える飲み物ではないのです。このオークの樽の中で熟成され、洗練されていくのです。

 しかし、此処まで手をかけて、このワイナリーのほとんどのワイン値段が3000円/瓶以下っていうのは、本当にモトが取れているんでしょうか?お客の私が心配になります。

 完成途中のワインのテイスティングの次は、勿論完成品のテイスティング。

 そう、ちょっと遅くなりましたが、ランチと共にワインのテイスティングの時間がやってまいりました。

20091115140405 ちなみにこの日のランチプレートはこれです。12時方向から時計回りに紹介しますと、雲南舞茸をつかったコンソメロワイヤル(洋風茶碗蒸し)、サラダ、そば粉のクレープ雲南鶏巻き、木次乳業のチーズを使ったキッシュ、雲南豚の煮豚、自家製スモークサーモン、島根沖のメダイのソテー、豆腐の生姜ソース・クコの実添え、レンズマメのコロッケ、そして中心にあるのは、古代米を赤ワイン風味で。と、こんな感じです。ほとんどの食材が、フードマイレージの低い、この地の物で作られています。

 これに2008年の新酒の赤と白、シャルドネの樽熟、山葡萄のワイン小公子、一緒にツアーに参加した皆様と楽しいおしゃべり、知らないうちに食事の時間の二時間が過ぎておりました。

 今回のワイナリーツアーで私的にいたく感じ入ったのは、皆様が思っているようなワイン=高級といった小売単価では決して無い(普通で千円台、高級ワインで2千円台、限定の手のかかる醸造本数の少ないものでも3千円台。ご自身で商売やっている方だと小売でこの値段ちゅー事は卸は・・・わかりますよね)価格帯のものを、プラントで大量生産するわけでもなく、こじんまりと手の届く範囲で、ひたすらに自分たちの作るものに手を掛け、一言で言うと「労多くして益少なし」なのではないことこちらが心配になっちゃうような、だけども、自分の仕事に誇りと自信を持ち、それでいて謙虚で学びの心を失わず・・・なんだか宮沢賢治の文章みたいになっちゃいましたが、作り方を聞いたり、ワイナリーの見学も大切なのだけど、このような熱い作り手の方々に出合うことができたのが今回の「大人な社会科見学」の最大の収穫でした。

 初めての場所に行き、その土地の美味しい物を飲んで食べて、その事を勉強して、その土地の人に会って話をして、同じ価値観を持った知り合い宴を囲み、楽しい日曜日でした。皆さん、人生はライブだ!家や身の回りの近場だけに閉じ篭るのはやめて、外へ出ましょう 。

 ホージョーワイナリー、奥出雲葡萄園、木次乳業の皆様、そしてこのツアーの企画で幹事の谷本酒店の若旦那、本当にご馳走様でした。 

| | コメント (7) | トラックバック (0)

2009年11月16日 (月)

葡萄酒はこうして造られる(その一)

 昨日は、仕事半分・・・いやいや2/3、自らの知的好奇心を満たす為1/3で、鳥取県と島根県にあるワイナリー訪問ツアーに参加してきました。

 つーか、話を遡る事4ヶ月、あるワイン会に出席した折、この時飲んだワインのワイナリーの社長さんと醸造長さんが来られており、「新酒が出来る頃にワイナリーを訪問しましょう」と、お話が盛り上がり「勤めているグループ会社のバス会社でよければ、私がバス押さえますがどうでしょう」と提案して実現してしまった今回のツアー。しかも今私が関わっています料亭プロジャクトのその料亭にも、この度訪問したワイナリーのワインをストックする事となりますので、その商品がどんな環境で、どう作られているのか知る絶好の機会でもあった訳なんです。

 と言う事で、今回は「ワインってどうやって作られるの?教えて偉い人!」って事で、社会科見学と言えば、この曲からいってみよう。

 無事、オープニング曲も聴いていただいたところで、本題へ。

 先ずは鳥取県東伯郡にあるホージョーワインさんへ。

 朝の8時過ぎにワイナリーに到着。朝早くの日曜日ですが、社長さんが表に出迎えに来てくださいました。 

 実はこのワイナリー、西日本では最古の部類に入るワイナリー。ただ創業の1944年、つまり太平洋戦争真っ盛りのこの時代、ワインを作る為の工場としてではなく、電波探知機に必要な化学物質として、葡萄の発酵過程に析出される酒石酸(今でもワインクリスタルなんていうよね)を作り、軍に納めるための工場として産声を上げたとの事。

 なので、ワイナリー内部も歴史があります。創業当時の建物がそのまま残っているのです。

20091115082719 昔使われていた葡萄の圧搾機。

 もちろんヨーロッパからの輸入なんてありえません。「試行錯誤の上作くったんです」と社長さんが感慨深げ。

 もちろん、今は現代的な圧搾機があり、そちらを使ってワイン作りをされておられます。なのでこの機械は眠りについておりました。

20091115082736 そしてこの圧搾機の横、壁の上に神棚が。

 ちゃんとお供えのお酒もワインです。神棚の下にチラリと写っているのが、ホウロウ製の発酵タンクです。

 そしてワイナリーの奥へ・・・

20091115082130 何やら良い匂い・・・鼻をクンクンさせながら暗いワイン蔵の奥で我々を待っていたのは、そうオーク樽の中で熟成していっているワイン達。この樽の周り、本当に良い匂いが充満しているんです。昭和19年創業の雰囲気が伝わってきますよね、この写真。

 さて、社会科見学の後は、皆で朝食会です。今年の赤と白の新酒、1992年物の白のヴィンテージ、赤のカベルネ・ソービニオンの「砂丘」、白のシュール・リーの「樽仕込」、これらのワインをテイスティングしながら、イタリアのパン「フォカッチャ」に大山ハムをはさんだハムサンドをほおばります。

 日曜日とはいえ、朝から酒漬け・・・いいのでしょか、まっいいか。フォカッチャの岩塩とハムのスパイスが辛口のワインによー合います。

 ボルドー大学で醸造学を学んで帰って来られた、跡取り息子さんも登場、最後に握手をしたのですが、土をいじっておられるガッチリした手をされておりました。

 さてさて、この位で第一の訪問地、ホージョーワインさんをホロ酔い加減で後にすることとします。

 お次は、バスに揺られる事2時間、島根県雲南市木次町の奥出雲葡萄園さんへ・・・

 それはまた明日のお話。

 あ~そこそこ、「食べて飲んでばっかりで、ワインの製造方法が何処にも書いてないやん」なんてことは言わないように、それも明日書きますから。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年7月 7日 (火)

仮想工場見学

 本日も昨日よりBMWネタが続きます。GUZZI同志ご安心を。BMWを買ったりする訳じゃないです。ただ最近ネットでよく遭遇するの。

 で、本日のお題はBMW二輪もミュンヘンからベルリンへ工場を移して今年で40年、その工場の40周年記念動画がYouTubeに転がっていたのでここで紹介です。

  見よっ!伝統のおばちゃん手書きピンストはまだ健在なのだ。

 つーか、今年の年初に作ったBlogカテゴリー「大人な社会見学」の第一弾エントリーなんですけど、本来、このカテゴリーを作った当初の趣旨は、私が行う予定だった社会見学突撃取材のレーポート形式だったんです・・・でもなんだかこの昨今、企画はあるけど忙しくて取材出来ないまま今に至ってしまって・・・。でNET上でこの動画を見つけて時に「とりあえず第一回はこれで良いか」そういった使い方になっちゃいました。ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ

 BMW乗りの方は、「私の愛車はこうやって生まれたのか・・・」と観ていただければ幸いです。

| | コメント (6) | トラックバック (0)