さて、物事には、そのオリジンとそこから派生したものがありますよね。往々にしてオリジナルと呼ばれるものは質素というかシンプルで荒削りなのですが、「どうだっ!」って云わんがばかりの個性があって、悪く言えば灰汁が強い~なんて言われ方をしたりします。方や派生物はオリジナルなものの欠点を「こうしたら良いよね、ああしたら~」と時間をかけてトラブルシューティングされていて、万人向けで洗練されている一方、オリジナルが持っていた個性がずいぶん薄れてしまって・・・そんな事が世の常です。
今回はそんなお話。
前からこのBlogで話しております行きつけの紅茶専門店“ダウラ”さんが新メニューで「ほうれんそうとキノコのキッシュ」を始められていまして、私もその新メニューを美味しくいただいておりました。
さて、私がフランス語会話の個人レッスンを受けていることはこのBlogでも書いておりましたが、いつもお勉強のために土曜の午後に通う還暦の元パリジェンヌの先生のお宅、そのお宅のお向さんが、先に述べました“ダウラ”のご主人のご自宅なのです。そうご近所さん、家族付き合いの間柄なのです。
二週間ほど前のレッスンの時「今、ダウラさんでほうれんそうと茸が入ったキッシュが出ていますよ」と先生に報告すれば、ちょっと含みのある笑顔、そして「日本のキッシュはアレンジが効きすぎ。フランスでは中に茸とか野菜は入れない。入っているのはサイコロに切ったスモークベーコンだけ。私のお母さんはロレーヌ人。お母さんのレシピのキッシュはもっとシンプルで食べ応えがあるもの」と、キッシュについては一家言お持ちのようです。
そしてそのレッスン後、ダウラにてそのお話をすれば「え~っ!!具の無い(あるんですけどね)キッシュって・・・」となっておりました。
そしてまたまた先週のレッスンの時「コレが私(お母さん)のキッシュのレシピ」と、藁半紙に印刷してあるレシピをいただいたのです。前にフランス料理の教室を頼まれた時に使ったレシピです。そのレッスン後にそのレシピを持ってダウラを訪問「これがそのレシピ」とそれを預けてきたのです。
で、昨日、仕事上がりの夕刻の一時、我が相方よりメールが入電。
「例のキッシュ、ダウラにあります」と。
仕事を早々に片付けてダウラに到着すれば、さっそく出てきました。私のフラ語の先生レシピのキッシュ・ロレーヌ。
立ち上るナツメグや、グリュィエールの焦げた香り、焦げ色もきれいです。
「それでは」と、フォークを突き刺し、一口大に切り口に入れればスモークベーコンのスモーク香が良い匂い、そしてサイコロに切った大きさが絶妙で、ベーコンの噛み応えといったテクスチャーも申し分ないのです。パワーの出るような濃厚な旨さなのです。あっちゅー間に完食してしまいました。
聞けば、今まで作っていた“ほうれん草と茸のキッシュ”に比べ小麦粉、卵の量は二倍、グリュィエールチーズは四倍使うとの事。あ~ボディーにドスッとくるこのへヴィーな食べ応え、ホンマにフランス北部の料理です。
実際食べた仲間は、口をそれえて「あぁ、君の先生が『日本のそれは、キッシュとはちがう物』というのが良くわかった」と納得です。日本のものがお茶うけのスナックの類だとすれば、本場の物はリッパなワンプレートの食事なのですよ。辛口の白ワインなんか良く合うんだろーなー・・・はぁ~(遠い目)
あぁ思い出してコレを書いていいたら、何だかぁ~何だかぁ~「もう一度食べたぁ~い」と、癖になる味。
これがダウラさんの定番メニューになるかどうかは、皆様のリクエストの如何でしょう。そっと「ホンマモンのキッシュ・ロレーヌをお願いします」と頼んでみましょう。
もちろん私もお願いするつもりです。
胃袋にズドンとくる重いワンプレート、たまにはそれもいいのだ。
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