何事もチューニングは大事ちゅー事で
昨日も、島根県立美術館へレッツゴー。二週間ほど前のエントリーに企画展「浮世絵遊覧」の前期展示を見に行った事をかいておりました。今回はその後期展示。
ホンマにねホンマもんはちゃいます。えぇ目の保養うになりました。
で、展覧会を見終わると、美術館のロビーで黒山の人だかり。何かと思えば、浮世絵の摺りの実演が行われておりました。
その工程をじっくりと見ること数十分、何枚かの浮世絵が摺り上ると、摺師の方への質問タイム。
これが良かった。
「木製の古い版木は、寸法がおかしくなっているんじゃないか?」かの質問に、「くるっています。反ったり、捩れていたり、縮んでいたりと。反り、捩れは、ここを伸ばそう思う部位を濡らして蒸らす事で、版木を平らにします。サイズがくるっている時には、セット(多色刷りなので何枚も版木がある)の中の一番大きな版木に合わせて、縮んだ版木をこれまた水を含ませたり蒸らしたりして伸ばすんです。5mm位くるっているのがあるで、大変なんですよね」と。
それを聞いていた私は思わず「えぇっ!!5mmもっ!!!」つい大きな声で呟いてしまいました、5mmっていえば誤差の範囲を優に超える寸法ですもんね。その声に同調するが如く摺師の方が、「そうなんです大事(おおごと)ですよね、本当に古い物は5mmくらい縮んじゃっている版木があるんです」と、それに続けて「摺師に『今日、この浮世絵を摺って』って版木渡されても、摺れるもんじゃないんですよ、摺れるようにするまでの調整が、とても大切なのです」
ちなみにこのBlogの読者の方には、二輪業界で「職人」と呼ばれられている方も多々おられると聞き及んでいます。
この刷り師さんの、仕事をされている時の利き手側の道具の配置がこうです。ね、整然と並べられた道具達、仕事は違えど同じ職人としての仕事っぷりがわかろうってもんですよね。
とにかく、この目で多色摺りの浮世絵がどのような工程を経て完成していくのかを見ることが出来てとても興味深かったです。それと発見だったのですが、必ずしも黒い輪郭線を最後に摺るんじゃないのもわかりました。そうですよね、日本画の岩絵の具等の水性絵の具は透明顔料ですもんね。
それにしても、この場に、zukaさんを引っ張って連れて来させたかった・・・。
残留応力との戦い、寸法の精度を出す。これが物作りの根本なのであった。
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コメント
己は以前、銀座で行われる筈だった浮世絵師の生の講義会が台風で流れて
から「現場で行われる本物の作業」を見る機会を失っておりますので
今回のレポートにある内容視察は非常に興味深いですなあ。
投稿: zuka | 2010年2月 1日 (月) 22時53分
zukaさま
本当にお若いのにしっかりした職人さんでした。
摺りの手早さ、版木と紙の湿度の管理、どんな仕事もそうですが、仕事に対するこだわりが相当奥が深いです。
あなたをその場に連れて行きたかった。
投稿: 松永 | 2010年2月 2日 (火) 12時00分