残酷な天使のように
「ITAMIさんに『レース頑張って、新しいライセンスもらってね』って、言っといてね」この日曜日にITAMIさんのレースのお手伝いに行く事を、我が甥に電話で話している時に、そうつぶやいておりました。
そんなITAMIさん、国際ライセンス取得への道!コレが本日の御題です。
ココのところ多忙な私、ちょっと土曜日から2日間お手伝いと言う訳には行きませんでした。それが幸いっしたのかそうじゃないのか・・・土曜日の岡山国際サーキット物凄い雨だったみたいで、ITAMIさんは走行をキャンセル。これにてサーキットに私が居ないのに土砂降り、少なくとも私が雨男つまりBS団の構成員では無い事が、ココに証明されたのだった。
とまあ、軽く背理法を使った証明をした所で、日曜日のお話です。
朝、サーキットのゲートに到着、私の顔を見るなりサーキットのスタッフさん「松永さん、ピットクルーライセンスをココで出してください。ITAMIさんのピットクルー・クレデンシャルを預かっていますから」と・・・あ゛~っ!!!「国際的謎の人」を気取っていたのに、面が割れています。
パドックでITAMIさんを見つけ、予選開始まであと1時間。既にマシンをウェイティングエリアに並べてあるとの事。つーか岡山のST600の予選のコースイン順序の奪い合いはそりゃ壮絶な早起き合戦でして。ウェイティングエリアに、早起きしてマシンを並べるのです。ちなみにITAMIさんは朝の4時にマシンを並べたとの事。それでも三番目です。どんだけ早起きやねん、皆!
コレが予選前、物思いにふけるITAMIさんの姿・・・(る~る~るる~る~るる~♪BGM)
何を如何しようというのか!この男!
物思いにふけるライダーはほっといて、この時のピットクルーの私のお仕事といえば、コースイン時にタイヤウォーマーやスタンドをテキパキお片づけ。折角早起きしてマシンを並べたITAMIさんの努力に報いる為、コースイン三番手を死守するため、そしてあわよくば事を上手く捌いてコースインのポジションアップも狙ってみよう。
で、作戦実行。二番目でコースインさせることに成功。この時点で予選における私の仕事は終わりました。あとはコース上、ライダーのお仕事です。一人で頑張ってちょーだい!
予選が始まりました。前日の雨のウエットパッチの残るドライ路面。勿論タイヤはドライタイヤです。場内放送でトップ5のタイムと順位を刻々と放送しています。一度「ITAMIトップです」と言われるも、直ぐにそのタイムを塗り替えられ、最終ラップ前には4位に。
そして最終ラップ、最終コーナーを立ち上がり帰ってきました。チャッカーを受けた時、場内放送では
ITAMI、1分40秒ヒーンッ!キュオーン!ギュオーンッ!!
メインストレートを走りぬけているレーシングマシンの排気音で、放送の大事な所が聞こえませんがな・・・(涙)。でも・・・放送で名前を呼ばれたと言う事は・・・近場でディスプレイを持ち込んでサーキットの発表のタイムと順位を観れるようにされているチームに図々しくお邪魔しまんにょあです。
そこで順位を確認すると現時点でポールポジション!!!!やったね。ただ、まだまだこれからチャッカーを受けている選手も居ます。その内にメッチャ速いヤツが居るやも知れません・・・もうちょっとディスプレーを観ていたかったのですが、ITAMIさんがピットに帰ってくる頃合。後ろ髪を引かれる思いで、出迎えに行きます。
走り終わったITAMIさんからマシンを預かり、「今の段階でポールポジション」と伝えます。ヘルメットの奥で、目が「ニヤリ」とするITAMIさん。そして正式結果がでました。ポールポジション間違いなし。やれば出来るのである。
しかーし、ルンルンしているのも束の間、ITAMIさん、なにやら帳面片手に考え中・・・考え中・・・考え中・・・ごそごそスーパーのビニールの袋に入ったものを取り出し、ココで一言「前後のスプロケ換えます」マジですか!今のままで予選ポールポジションなのに・・・さらに何かを求めているのか、どれだけ欲しがり屋さんなんでしょうか!
ガチャガチャやって、組付けを手伝います。スプロケ交換後、マシンを見ればタールピッチだの虫だのがへばり付いています。ポールポジションのマシンが汚れているのは、ピットクルーとして私の美意識が許されないので、マシンをワックスでキレイキレイにしてやります。コレで空力が上がって各コーナー0.1秒は違います。(多分・・・そうあってほしいと希望です)
ワックスをかけながらよ~くカウルを観察すれば、今回の水色は、いつものソリッド水色じゃないです。なんとラメ入りです。そうですか・・・ITAMIさん、関東に住んで幾年月と言えども、やはり根が関西の人、本気モードと学生服の裏地は光物が基本のようです。
さてさて、決勝タイム。
そしてこれが、MOTOGP、全日本選手権、地方選手権、サンデーレース、どのような舞台であってもレーサーと名の付く人全てがあこがれる、ポールポジションのグリッドだ。
そしてポールポジションと言えば、サーキットからのご褒美、サーキットクイーンを侍らしての選手紹介なのだ。
って、今回のこの娘、この日が始めてのサーキットクイーン・・・カチカチのコチコチで顔も笑えてません。このおっちゃんに傘差さなあかんけど、怪しいオーラが出ていて近寄れない・・・それとも、ITAMIさんとこの娘の間に、ATフィールドが存在するのでしょうか。この微妙な位置関係と、斜めに出された傘が無性にオモロイ私。そしてウォームアップ開始三分前の「ヘルメットのアゴ紐確認」プラカードを持って歩かれるときも、なんだか緊張で顔が引きつっています。こんな状況、この私が放っておけるわけがありません。我々の横を通り過ぎるとき「微笑んで~!笑って~!」と言いながら私は変顔。だって、いじらずににはおられないじゃないですか。
そんなこんなでスタートです。レッドシグナル・オン・・・シグナル・オフ!をぉ良いスタートです。オープニングラップは2位で帰ってこられました、トップにかじりついているので「良しっ!」と思っていると、コースのそこいらじゅうで転倒だらけ。オープニングラップで5台が転倒し、レース中断の赤旗が出てしまいました。
周回数の減算が無いので、1Lガソリンを給油しコースに送り出し、最初のスタート手順から仕切りなおしです。
レッドシグナル・オン・・・シグナル・オフ。スタート!!
ゲゲゲッ・・・ITAMIさん棹立ち・・・ア゛~ア゛~、それに釣られて2番グリッドの選手も棹立ち・・・何時からウィリー勝負のエクストリーム系のレースになったのでしょうか・・・その状況をサクッと後続の車輌が「ゴチであります」とホールショット。本当にBlogネタを決して忘れないITAMIさんなのだった。
そして決勝は1~3位までがちょっと離れて、ITAMIさんの居る4番手集団に4位5位6位7位がバトル中。どうしてもバトルになるとタイムは上がらないよね。ITAMIさんは4位から5位になったり~一時は7位になったり~そして6位になったり~と、周回により順位を変えながら、6位でチェッカーを受け無事レース終了。ポイント(σ・∀・)σゲッツで昇格決定です。
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でもなんだかITAMIさんご本人はこの結果に不満そう・・・。でもね、この激戦の中、転倒も無く1分40秒を切ってきっちり入賞。そして二年越しの目標だった国際昇格。良い結果ではないですか。
ITAMIさん、本当におめでとうございます。
勿論、帰宅後、東京の甥に「ITAMIさん、ちゃんと無事にライセンス取ったよ。レースの順位は6位だった」と告げれば。
「本当に!でも、なんだかちょっとビミョーだねぇ~」と応えます。あぁ・・・子供って本当に残酷で容赦無い。
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コメント
わしも言ったような気が・・・
投稿: tatara | 2009年9月17日 (木) 15時33分
tataraさま
もうね、選手権でそんな簡単に優勝できませんから。
シングルリザルトだって凄い大変なんですよ。
そこんところヨロシクデス。
投稿: 松永 | 2009年9月17日 (木) 23時25分