孔雀の如く着飾って
この23日に発売となりました漫画“へうげもの第四巻”。皆さま、手にとって見られました?この四巻にて古田左助は古田織部正重然へ、千宋易は千利休へ、羽柴秀吉は関白・豊臣秀吉となります。もの語りのターニングポイントになりそうな予感・・・
かねてより、このBlogにてこの漫画の一コマに籠められた唯らなぬ情報量の多さについて書いてきましたが、今回もやられました・・・
今回、私が「やられたっ!」と思わず叫んだポイントは、織部が、関白となった秀吉に関白就任の祝いの接見の場面、その時の秀吉のコスチュームです。この作品は信長にピアスをさせたり、実にありそうでなかった衣装設定が見所なのですが、この時の秀吉のコスチュームはお歯黒をし、付け髭を付け(よく観察すると糊しろが書き込んでであります)、襟元に孔雀の尾羽を飾っています。
お歯黒については、過去にこのエントリーを書くために、いろいろと調べた経緯がありました。なのでちょっと予備知識があったのです。これは関白という公家にとっての最高位に付いたと言う事を表す作者の表現なんだ(ちなみに武家の最高位はいわずと知れた征夷大将軍)・・・なんて事に気が付つきます。
襟元を孔雀の尾羽で飾り「これでお茶々の気を引けるかのぉ」と秀吉に言わせる辺り、セックスアピールのために♂が♀に着飾る現象を「ピーコック現象」というのですが、言葉通りの、そのものではありませんか。
そして公の場では、他者に対して威厳を持たせようとする付け髭(作品中、ちゃんとプライベートな場では付けてないんです)。・・・そこを一歩突っ込んで見ると、生まれが武家でなく農民であった秀吉の「先ず外見ありき」とでも言わんがばかりの成り上がり感を表現しようとした作者のこのような手法に、いたく感心しました。
このように、この第四巻も、期待を裏切らない面白い漫画として読むことが出来ます。
やはり、この作品でいちばん「ひょうげて」いるのは、他ならぬ作者:山田芳裕 氏なんだなぁ~との思いを、巻を重ねるごとに、いっそう強く思う今日この頃であった。
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