そこは神の棲む処
昨日は鳥取県立博物館で行われている特別展「沖 一峨 -鳥取半御用絵師-展」を観にいきました。
最初は「ほ~いいねぇ~」なんて感じで観ていたのですが、最後の第三展示室で事が起こりました。
「古典の模写」と言うコーナーで相國寺に伝わる中国の画家、文 正の筆による「鳴鶴図」、そしてその画を日本の画家が模写した作品と並べて展示してあったのですが、その中に遠目に観ても、羽毛一枚一枚が光って見えるが如くの、ただならぬオーラを発している画が二幅。
心の中で、「もしやあの輝きは、私が散々画集で観て、解説に光り輝くような白とまで書いてあった、あの若冲では・・・」逸る心を抑えながら、その他の画をほっといてその画の前に行くと、やはり伊藤若冲の筆による「白鶴図」でした。
「鳴鶴図」の模写として書かれているのに、オリジナルを凌駕しているこのディティール・・・、「神は細部に宿る」とはこう云う事かと、ショックのあまり頭をハンマーで叩かれ言葉を失うこの感じ・・・若冲は、「描く対象物そのものを描くのではなく、その内に内包された神気を描くのだっ!」と言っていたそうですが、ホンマこの絵には神が憑いています。
皆があまりにも「若冲、若冲」と騒ぐ昨今、天邪鬼な私はかねてよりずっと好きだったのにもかかわらず、そのミーハーともいえる人気振りに「けっ!」なんて毒付いていたのですが、真筆をこの目で、しかも間近に観る事で、打ちのめされてしまいました。
沖 一峨展のはずなのに最後の最後、沖 一峨がすっかり「刺身の端」になっちゃた感じです。作品の格がその位違うのです。
これは、一刻も早く、今、京都で行われている「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」を観にいかねば、と決意した午後となりました。
しかし・・・昨日の夕刻、若冲の鶴の前に永らく貼り付きました。
もう、「時間よ止まれ」ってな感じです。
何事もライブ感覚、この目で本物観なきゃ駄目だ。
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コメント
うん、そうですね、非常に「理系好きする」画風だと思います。バイクとかプラモとかお好きな松永さんにはまさにツボだったのでは?図鑑絵とかボタニカルアート系ですね。
松永さんに言われた通り、バイクに名前をつけました。が、つけた途端にKAT-TUN赤西脱退・・・また名前を考えなくてはいけません。
投稿: MIKA | 2006年10月13日 (金) 17時48分
私好みの画家の中で、若冲はその頂きにいる画家の一人であります。(他に私の脳内には北斎とか、河鍋暁斎、フェルメール、ボッシュ、アルチンボルト、ダリ、ゴヤ、カラバッジオ、ノーマン・ロックウエル、シド・ミード、高荷義之、岡本太郎・・・がいてはります)
東京時代には展覧会でこれら画家の真筆を直接見ることができたのですが、地方に引きこもってからは中々お目に掛かれません。こういった面の文化水準の低さに、あきらめモードです。
そんな中で若冲に会えましたので、うれしさ百倍だったのでした。
大体こんな感じ~です。
バイクの名前についてはコメントしかねます(笑)。
投稿: 松永 | 2006年10月14日 (土) 01時28分
う~んやっぱり図鑑系ですね・・そのラインナップを見る限り。ありえない世界を題材にしていながらもディテールが妙に精密、という感じ。
わたしは一筆書きでしゃしゃ~っていう感じの人たちが好きなので(エゴン・シーレ、ベン・シャーン、ピカソの闘牛シリーズなど)見事に合致してません。好きな画家が。
「真珠の首飾りの少女」観ました?昔って絵の具作りからしてて~へんな作業だったんですね。
投稿: MIKA | 2006年10月14日 (土) 02時17分
追伸・・ジャコメッティとロダンも足しときます・・要するにものの形や仕組みをカッチリと精密にとらえるタイプよりも、そのかたちは現実的にはありえないにもかかわらず、現実以上になにかを物語っているというタイプですね。
投稿: MIKA | 2006年10月14日 (土) 02時39分
mikaさま
>「真珠の首飾りの少女」観ました?
映画の事でしょうか?絵画の事でしょうか?
両方ともぬかり無く観ています。
絵の方は数年前に大阪でフェルメール展がありましたので、そこで穴が開くほど観ました・・・って、実際の本物の絵にも、遠近法を使うためのフェルメールがピンを刺したピンホールが、結構開いているんですけどね。
投稿: 松永 | 2006年10月14日 (土) 22時44分
映画です。ひとつ訂正が・・首飾りではなく耳飾りです。今読み返して気がついた・・・それにしてもスカーレット・ヨハンソンって20才そこそこでなんであそこまでわかってるんでしょう?末恐ろしくなります。
今日は倉吉までクルーズしてみました。これほどまでにマジというかシリアスというか集中することは仕事でも(すまんボス)ありませんここ近年。バイク降りると手足がふるえてます。
投稿: MIKA | 2006年10月14日 (土) 23時55分