濃密な一時間
型とは、定められた攻防の手順を呼吸を合わせて行うことで、剣の術利を体に覚え込ませるものであるが、精妙な太刀筋を恐るべき速度で行った場合、その致死率は真剣勝負以上の・・・
山口 貴由 漫画「シグルイ」第五巻 二輪(ふたわ)より
先週の土曜日の稽古は、遠方の道場で先生が夕刻まで剣道の試合の審判をされており、そのあと競技役員の間で一席設けてあったのを、私に剣術を教えるためにその酒席を断られ、急いで道場まで来ていただいた。深く感謝感激です。
しかしその稽古の内容は、壮絶な内容となってまいりました。リミッターを外したあらん限りの速度で、間づもり、息遣い、手の内の使い方を注意されながら、あまりに張り詰めた空気の中、額の汗が双眸に入り激痛が走る・・・。
一度、師の左袈裟を斬りかかった時、止めきれず、左肩に白樫の木剣が当たってしまったのですが、「よしっ!そうだっ!」と言われただけで黙々と型の稽古が続きます。道場は木剣の「ひゅっ」っと空気を斬る音、「カンッ」と言う木剣同士の当たる高い音(「ボコッ」に近い低い音だとちゃんと木剣が振れていない証拠)、「エイッ」と言ったお互いの気合の声だけです。
やはり最後の五本目「高波」で躓きます。私の眉間に師の木剣が走り、それを鎬で擦り上げ、師の眉間に斬りかかり、それを先ほど私が行ったように擦り上げられ、切り返して来る剣筋を又擦り上げながら師の剣筋の下をくぐり相手の左側に回りこみ右袈裟を落として止めとするのです。この場面をいつもより速度を上げて、途切れることなく何度も何度も連続しての練習となりました。動きに迷いが出て、タイミングに狂いが出るとお互いが危険な技なのです。
「よしっ!」と一様の許しが出て一休憩。無酸素運動から解かれ、深呼吸をすると「わっ」と一気に汗が吹き出てきます。
「さて・・・呼吸は整った?通して行くぞ」と一本目から五本目まで通しで型を行います。
稽古の終わりに、「いつかは模擬刀(刃をつけていない日本刀)で型が打てる位にならないと・・・やるからにはその位まで覚悟を決めてなっ!」と、この先の展望を始めて言われました。(刃がついていないって言ったって日本刀で・・・(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル )
「次の回から『打太刀』も教えます」とも。今迄「使太刀」のみでしたので、次より今迄先生のやられていた斬られる側の「打太刀」の稽古の始まりです。
言葉通りの真剣勝負となってきたようです。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
木剣と違って 真剣は叩かれても良い。
犬の牙も刺って逃げる時に身が裂ける。
懐に飛び込むことで 刃物の恐怖を緩和する。
投稿: 無茶士 | 2006年5月30日 (火) 14時27分
無茶士さま
こめかみ、正中線、袈裟、水月、膝、一撃で命を奪ったり、最低でも運動機能を奪う人の急所を的確に狙いますので、刃物の恐怖は拭い切れません。
投稿: 松永 | 2006年5月30日 (火) 23時00分