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2005年11月18日 (金)

The Long and Winding Road♪

 昨日の記事よりつづき・・・

 ついに日本の土を踏んだSAXON/GUZZIフレーム。今回送られてきた物はプロトタイプで、エンジンを積んだりして不具合を見ながら、そのデータをもとに改良された正規生産型のフレームが送られてくるとの事でした。

 このプロトタイプは、データ収集のため早急にオートバイの形にまとめられ、その翌年の2002年春、長野の斑尾で行われたイタリア二輪車のミーティング“グルッポ モト イタリアーノ”に展示されていました。グルッポに来られていた方々のお目に掛かっていると思います。(このミーティング参加のため、私も1978年製MOTO GUZZI LeMansIIで鳥取~斑尾間を、ほとんど休み無く自走往復して、へとへとに疲れた記憶があります。)

 これらの事と時を同じくして、2001年から始まった小泉政権。この政権の掲げる『改革』という御旗のもと、法令尊守(コンプライアンスなんて言いますね)の観点から、もろもろの既存制度の見直しが行われました。その中に自動車の登録に係る車検制度も含まれていたのです。規制緩和などと耳ざわりの良い言葉で言われていましたが、その実態は、規制強化と言った方が正しかったようです。 

 ゴロー号として生産型フレームにエンジンを積み始めた頃、刷新された日本の車検制度のハードルの高さに気が付かれたのですが、時既に遅し、タイミング的に「滑り込みセーフ」は既にありえない「残念っアウトッ!」となってしまったのが現実です。ただ、身の不幸を嘆いていても何の進展もありません。これより、ゴローさんのナンバー取得と言う第二ラウンドの奮闘が始まったのです。

 登録するための内容は、通関証明から始まり、ブレーキ時のフレーム強度試験、排ガスの検査(通称ガス検)等、メーカーでなければおよそ通すことが不可能では・・・と普通の人ならば尻込みしてしまうような内容。

 ガス検に至っては、せっかくモト・ラボロのジンさんに用意してもらい英国に送っていた、1100sport系の5速FCRキャブレター仕様、120psのエンジンではその検査を通らない事が解りました。泣く泣く現行車のV11系のフューエルインジェクション搭載型のエンジンでミッションケースは横置き6速ミッション、一番重要な排気系は触媒付きでしっかりと消音された排気管+サイレンサーをこのマシンのために新たに作り、それに伴いミッションケースの形が変わってしまったため(5速縦置き→6速横置きとなった)、リアスイングアームのドライブシャフトの取り出し穴の位置変更等、フレームの方にも諸々の細かな変更が必要となったのです。

  また一時は、ブレーキ時のフレーム強度試験のために、谷田部の自動車周回コースを借りて、そこで試験をしなくちゃならないなんて言うような大げさな話も飛び出す始末。ただこの件は、先に述べた英国人の友人がナイジェル・ヒル博士との間に入り、英国で行われたフレーム強度試験のオフィッシャルな書類を集めるために奔走してくれたおかげで、実際は行わずにすみました。

 こんな事をしているうちに一年が過ぎ、二年が過ぎ・・・なかなか遅遅として進まない工程に、腹の立つこともあったと伝え聞いています。そりゃそうでしょう、御馳走が目の前にあるのにズーッとオアズケをされているのですから。私なら狂っちゃいます。そして三年が過ぎた頃、やっと光が見えてきたのです。一つ一つ障害を乗り越えるように、諸々の試験・検査に合格し、やっと仮登録までこぎつけました。

 最後には、お役所の方も「こういう具合にした方が良いよ」とアドヴァイスをくれたり、英国に直接問い合わせをしてくれたりと、登録に向けて協力的だったとのことです。そして終に、フレームが日本に来て四年目、アポ無しでホテルに押しかけたあの日から数える事、七年の月日が過ぎた一昨日の2005年11月16日、最後の書類が全て揃い、念願晴れてマシンにナンバーが付き、車検証が発行されたのです。(ここで、昨日の記事の最初のシーンにつながるのです。)

 その車体は、ナイジェル・ヒル博士の要望で、サクソン族の民族の色、黄色にペイントされ、マシンの名は唯一無二の意味合いを込めて「モナリザ」と名付けられました。

 日本にフレームが届いた時のことです。博士は「限りある私の人生の三年間を掛けて作った・・・これはモータサイクルと言うより、我が血であり我が肉だ・・・よろしくたのむよ・・・」と言われ、博士自らの手で作られたこのアルミフレームをゴローさんに託されたそうです。

 さて、皆様がご存知のように、このBlogの題は「週末が待ち遠しい」です。今日は金曜日なので、この記事を読んでおられる皆様それぞれ、この週末を待ち遠しく思われていることでしょう。でもね、この週末に限って言えば、ゴローさんほど、この来るべき週末を待ち遠しく思われている方はいないんじゃないかと思うんです。

 この週末、天気予報では関東地方&伊豆地方は降水確率20パーセントです。

 今、私には思い浮かぶ光景があります。

 SAXON/GUZZIが金色のBMW R100RSとMOTO GUZZI V11 LeMans rosso corsaのニ台と轡を並べ、抜きつ抜かれつしながら、右に左にワインディングロードを疾走する姿・・・その道は、長く困難続きの道のりを走り抜ける事ができた者のみ、走る事の許された道なのです。

 

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コメント

このレポートは名作です。

ゴローさんと博士と諸々の過程の写真と図面を付け加え
関係者各位の生言葉を大幅に挿入し、
梶原一騎的ボリュームアップで
松永氏責任編集の元に「本」にしてください(笑)。

投稿: zuka | 2005年11月18日 (金) 00時47分

>このレポートは名作です。

>ゴローさんと博士と諸々の過程の写真と図面>を付け加え
>関係者各位の生言葉を大幅に挿入し、
>梶原一騎的ボリュームアップで
>松永氏責任編集の元に「本」にしてください(笑)。

同感です。
充分読み応えのあるものになると思います。
これまでの七年に感動しました。(本気!)

オンリーワン・ワンオフ
いいじゃあないですか。
ここの主のグッチもだんだんそれに近づいてますよ。
ボクはもう一人似たような人知ってますよ。
昔、某(現在も有る記事より広告の多い)オートバイ誌の記事を書いていた、ウチの関係者です。
それ(一応カタナらしい)の完成も待ちどうしいです。

投稿: ocboo | 2005年11月18日 (金) 01時16分

>梶原一騎的ボリュームアップ
GUZZI馬鹿一代なのかっ!!!そうなのかっ!!!
ちぇすとーっ!!!

投稿: 松永 | 2005年11月18日 (金) 01時39分

>このレポートは名作です。
>ゴローさんと博士と諸々の過程の写真と図面を付け加え
>関係者各位の生言葉を大幅に挿入し、
>梶原一騎的ボリュームアップで
>松永氏責任編集の元に「本」にしてください

遅れてコメントしてしまいましたが私も同感です。まさにロマンです。久々に熱くなりました。

投稿: ドリー | 2005年11月18日 (金) 09時03分

「限りある私の人生の三年間をかけて・・・」のくだりはこの歳になると重いです。

予備検査とくれば ライセンス生産。
FCRエンジンのON-TRACK!

松永さま 貴方の出番です。 本も!!!。

投稿: BJOD改め無茶士 | 2005年11月18日 (金) 09時08分

This report is very nice to read.

I am lucky that I live close to the Saxon workshop in UK and I am soon to start a project for a Saxon-framed Triumph triple. The anticipation you described about receiving the first frame prototype is what I am feeling now!

The pictures and videos I have recently seen for "Mona Lisa" look fantastic - WELL DONE!

Cheers
Jon

投稿: Jon | 2009年12月31日 (木) 20時46分

@Jon,
Thank you for reading my weblog.
But...I am writing this weblog only in Japanese.Did you translate these entries in Google?Can Google translate to English neatly?

I want C3PO sometimes :).

Please enjoy my weblog continuously though it keeps writing in Japanese.

P.S I'm not a Saxon's owner.My elder friend is the owner.

投稿: Matsunaga | 2009年12月31日 (木) 22時36分

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