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2005年10月26日 (水)

カエサルの物はカエサルへ

 今、店頭に並んでいるネコパブレッシングの本「Classic MOTORCYCLING」、皆さん手にとって読んでみられました?

 その本の中、高倉 康さんの書かれた記事「イタリア旧車シーンの今」の中に、私、松永が目頭を熱くして見た写真があります。P42~43のジャン・ピエトロ・パルメジャーニさんのコレクションについての記事にその写真はありました。

 かねてより私がこのBlogに何度も書いてきた「火の玉男」ことタルクィニオ・プロヴィーニの乗ったMoto Morini250の写真です。

 パルメジャーニさんがこのマシンを手に入れた頃の状態は、ProtarJapanのホームページに岡部社長の手による記事があります。ホームページに載っている最初の状態を見てみて下さい。

モリーニを追うその1

モリーニを追うその2

 そして本に出ている写真を見ると、ずいぶんキレイキレイになっています。写真をよーく見ていると「あっ・・・」と思いました。ビニールテープが巻いてある・・・(涙)。

 岡部社長曰く、プロヴィーニさんは「ビニールテープ男」と。ともかくビニールテープでぐるぐる巻き、一時期このビニールテープについて松永なりの考察をして、質問メールをした事がありました。

以下がそのメールの一部です。

 1:点火コイルの本体グルグル、ステーへのバッテン巻きに至った松永の考察です。
 レーシングシングルエンジン特有の高回転時の高周波振動対策として、点火コイルに防振用としてビニールテープだったのでは、またステーのバッテン巻きは、振動による金属疲労によるステー破損を見越しての保険では無かったのでしょうか・・・
 実際、車体ステーのボルト取り付け部分に溶接で補強か補修をした後のようなものが見えるような・・・
 一度走行中に脱落等のトラブルがあったのではないですか?。

 2:リアーサスのスプリングカバーのストライプ貼りについてです
 プロビーニ流のおしゃれだったのではと思います。
 50年代の終わりからアメリカではヴォン・ダッチことケネス・ハワードによりピンストライピングがバイクムーヴメントの中で流行ったことがあります。
 60年代にはトライアンフのリアショックスプリングカバーに、ヴォン・ダッチによって、モリーニ施してあったようなテープによるストライプに似た塗装を施したものもありました。
 この時代の「カッコイイ」といった感じだったのではないのでしょうか。
 前期型はただのむき出しスプリングだった後、上半分にクロームメッキのカバーが着いたサスに変更になったとき、「ここにストライプが入ったほうが断然カッコイイだろう」とプロヴィーニがテープをクルッと巻いて貼ったんだと思います。

 3:キャブフロート室のストライプ貼り
 これはカッコではないと松永は思います。
 別体フロート室の位置決めの目印としてのテーピングではないかと思います。
 この前よりの岡部さんから送られた資料に、モリーニチームはピットでいつもマシンをばらしていたという記述があります。
 このデロルトのキャブのフロート室は本体から完全に独立して、キャブ本体と繋がっているのが柔軟な燃料パイプのみというフローティングマウント方式となっています。
(車体取り付けはフロート室キャップ固定ボルトを利用して防振ゴムを介し、燃料タンク下のフレームパイプにボルト止め。いかにエンジンの振動からくる油面の乱れを防ぐか考えられている)
 ただ、整備後の再組み立て時にキャブに対してのフロート室の高さが変わるとそれは油面変更と同じになってしまいます。
 限られた時間での重整備の時、直ぐに位置決めが出来るように、メカを熟知した開発ライダーとしてのプロビーニの機転ではなかったのかと思えます。「キャブのここの位置に、このビニールテープのラインの下端をもって来るといいじゃないか」と言った具合に。

 とまあ、生意気にもプロヴィーニの右腕をやっていた方に、こんなメールを送っていたりしていたんです。

 このメールに対する返事として、1と3についてはほぼ正解の及第点をいただきましたが、2については、サーキット別にセットアップされたリアサスに交換していたため、分かり易いように目印として入れられていたようで、このコースにはストライプ無し、あのコースにはストライプ一本の物、二本の物といった具合にテープを巻かれていたのが正解のようです。

 今のオーナーはちゃんときれいにした後、同じようにビニールテープを巻かれています。普通キレイにレストアして保管される方は、ライダーが貼ったビニールテープなんて無かった事にしますよね。それをちゃんと・・・・(再び涙)

 パルメジャーノさんはMoto Morini250が欲しかったのではなく、タルクィニオ・プロヴィーニが乗ったMoto Morini250が欲しかったのだと解り、ましてや、ボローニャで作られたマシンをボローニャ人が保存されている。他人の持ち物で他人の事なのに、「あぁ、落ち着くべきところに落ち着いた、これでいいんだ。世界は調和している。」と、この本を読んで大変嬉しく思いました。(涙腺のコックも弱くなっています)

 まだ読んでいない方は立ち読みとは言わず、買ってみてください。今回は本当に良い本になっていますよ(ノートン・マンクス特集も良かった。特にF3の記事)。

P.S 明日、筑波で行われるモトルネ走行会に復活したGUZZIレーサーのテスト走行を兼ねて行ってきます。よって明日、明後日とBlogはお休みです。

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コメント

ん~深いですねぇ。 
事を聞く側さえも感動させられます
本当に好きな人・物に対する
最高の敬意ではないでしょうか・・・
またこの話を次の世代のこちら側方々へ
引き継いでいきたいものですね。
                       

投稿: フク(4本出し) | 2005年10月26日 (水) 10時14分

今日のPM:5時過ぎに、このBlogを開いてから、累計アクセス件数30,000件を超えました。
皆さまありがとうございます。

投稿: 松永 | 2005年10月26日 (水) 17時41分

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