美の呪力
今回のBlogの御題「美の呪術」とは、天才・岡本太郎の著書の題です。私にとっての「美の呪術」それはモーターサイクルです。作り手の妥協なき作品に出会うにつれ、その場に立ちつくし、何分いや何時間でも魅入られてしまう・・・これを呪術と言わいで何をいわんや、と言ったところです。
今、私が魅入られている一台についてお話したいと思います。
私の高校時代からの友人、時折このBlogにもコメントを付けてくれている瓶星(びんせいと読むのだよ)君がオーナーで、修復している物がある。修復については、私がアドバイザーのような・・・?事をしているのですが、その修復中の物とは、1950年代のキラ星の如く輝くイタリアの宝石、F.B.Mondialの175モノアルベーロ、ファクトリーレーサーです。彼がその貴重な走るであろう宝石を手に入れた時、部品の欠品こそなかったのですが、機関部は前オーナーが修復するつもりでバラバラとなって木箱に入っており、フレームは骨の様、タンクの塗装もかなり荒れた状態でした。
その頃、少しは時間のあった私が、灯油とささらで50年間たまった機関部分の汚れを、やさしく、そして取れる限り洗ってやったのも今は楽しい思い出です。なにせ灯油に肌が負けて肘まで真っ赤に腫れ上がり、腕一面に湿疹が出たのを憶えています。ささら洗いで取れるところまで汚れを落とした後、ウエットブラストに出し、部品によってはニッケル・カドミウム・亜鉛等の再鍍金を掛け、今年の初めにやっとエンジンが掛かるまでになったのです。今現在、フレームの修正に入り、その後外装の修復に入るのだが、出来上がったエンジン画像等を私たちだけで眺めているよりも、皆様にもお見せしようとオーナー氏の瓶星君と話をして、ここに組み上がったの頃のエンジンの画像とエンジンを掛けている映像を公開することとします。(あーそこそこ、今風のプラスねじでカムギアトレインユニットの蓋が留めてあるなんていわないように、本物と同じマイナスのなべねじの新品を手に入れている最中なので、手に入り次第ちゃんと変えます。)穴の開いているオリジナルタンクはそのまま保存し、今、新しいタンクをイタリアのカロッツェリーアに頼んでいます。(そこは未だにオリジナルのタンク型を持っている)
来シーズンにはモトルネッサンス、タイムトンネル等のイベントレースの会場で皆様にお目に掛ける事ができればなぁ~なんて二人で話しています。
注意点としては映像の方は結構、音が大きいので会社でこっそりこのBlogを読んでいる人は気を付けてね。映像はこちらです。
歩みは遅いのですが、安易なモディファイに走らず、確実に50年前の姿に戻してやる作戦です。瓶星!いろいろ辛いけど頑張ろうな、私もできうる限りの協力は惜しまない。 いつかは、このマシンが50年前に実際に走ったレース「ジロ・デ・イタリア」の復活版に出ような!
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
(あーそこそこ、今風のプラスねじでカムギアトレインユニットの蓋が留めてあるなんていわないように、本物と同じマイナスのなべねじの新品を手に入れている最中なので、手に入り次第ちゃんと変えます。)
味のあるエンジン。いいなー
乗りたくはないけど、かざってもいいな。と思うエンジン。
完成車輌に期待してます。
できれば、ビカビカにしてね。
投稿: ocboo | 2005年9月28日 (水) 09時34分
おおお・・
いよいよ大詰めですか?
楽しみにしております。
ひょっとして「お披露目」のときに
プラモデルも出るとか?
投稿: 大阪のイ。 | 2005年9月28日 (水) 10時00分
ocbooさま
> できれば、ビカビカにしてね。
うーん悩ましいところです。時代なりの年月を経た時代感も大切だと思いますので。
あくまでも個人的見解ですが、ホンダコレクションホールのビカビカレストアはあまり趣味ではありません。
投稿: 松永 | 2005年9月28日 (水) 14時53分
大阪のイ。さま
> ひょっとして「お披露目」のときに
> プラモデルも出るとか?
1/9での模型化となると、九州方面に適任の方がいらっしゃいますが、何ともいえません。(笑)
少なくとも私はスクラッチする気はございませんので、あしからず・・・。
投稿: 松永 | 2005年9月28日 (水) 16時39分
瓶星@出張中です。
ホント完全にバラバラでした。 でもフレームとタイヤだけの姿でも凛とした空気というか、ただならぬ妖気というか、なんともいえない不思議な感じを受けた覚えがあります・・・がんばってきちんともとどおりに直さないと呪われちゃいそ~。
というか、すでに呪われているという話も・・・
ジロに出るぞー!
ちなみにわたしも模型作ってる時間がありません・・・あしからず。
投稿: 瓶星 | 2005年9月29日 (木) 12時54分